ChatGPTのDeep Researchの出力結果をもとに、修正を加えました。(2025.3.4 定者吉人)
はじめに: 教室でのいじめや一方的な規律・懲罰などによって、子どもが自分のペースや興味を大切にされず、苦痛を感じるケースが少なくありません。本来持っている学び育つ力を発揮できるはずの子どもたちが、学校環境の問題ゆえに学べない状況は社会にとって大きな課題です。
国連「子どもの権利条約」第29条2項は、学びの多様性を保障する重要な規定です。既存の学校に行かない子どもたちの支援に活用できると考えます。本稿では、第29条2項の内容と各国での適用例、代替的な学びの成功事例、政策提言と行政連携、社会啓発キャンペーン、国内外の支援事例を調査し、それらに基づく効果的な支援方法を提案します。
1. 条約の解釈と法的活用
第29条2項の内容と解釈: 子どもの権利条約第29条2項は、「この条(学びの目的)または前条(学びへの権利)のいかなる規定も、個人および団体が学びの機関を設置・管理する自由を妨げるものと解してはならない」と定めています。第29条2項は元々「私立学校の設置を保護する規定」として提案・採択された経緯があり、保護者や民間が多様な学びの形態を提供できることを意図しています。この規定は、国による学びの独占や画一化を避け、私立学校やオルタナティブな学びの機関の設立の自由を保障しています。
各国における適用例: 条約第29条2項の精神に沿って、多くの国では公的な学びだけでなく様々な形態の学びが法的に認められています。例えばイギリスでは、親が学校に通わせず自宅学習を選ぶ権利が法律で保障され、地方自治体は既存の学校に行かない子への代替的な学びを提供する責務を負います。またアメリカ合衆国やカナダ、オーストラリアなどでもホームスクーリング(自宅学習)やチャータースクールなど多様な学びのオプションが存在します(※米国は子どもの権利条約未批准ですが各州法により代替学びを容認)。一方、ドイツのように歴史的経緯からホームスクーリングを禁止する国もありますが、そうした政策は「学びの機関を自ら設置・選択する自由」との整合性について議論を呼んでいます。
国連子どもの権利委員会は、「学び」という概念をフォーマル(学校)に限らず、子どもの人格や能力を発達させ社会で充実した生活を送るための広範な経験と学習過程を包含するものと解釈しています。つまり、学校外であっても子どもにとって適切な学びであれば、それも学びへの権利として尊重されるべきなのです。このような国際的解釈に照らし、各国は子どもの多様な学びの形態を認める方向へ法制度を整備しています。
日本国内での法的活用の可能性: 日本も1994年に子どもの権利条約を批准しており、第29条2項の理念を国内政策に活かす余地があります。教育基本法や学校教育法では、保護者に子どもを学校に就学させる義務が定められていますが、条約の趣旨に沿えば「学校形式に限らない子どもの学習権の保障」への転換が求められます。
実際、2016年に成立した教育機会確保法は、既存の学校に行かない児童生徒への支援と多様な学びの機会の重要性を明記しました。同法では「既存の学校に行かないのは決して問題行動ではない」ことが確認され、学校復帰のみを目標にしない支援の必要性が謳われています。子どもの最善の利益を優先し、子どもの意思やペースを尊重した学びを保障することは、条約第3条および第29条の理念にも合致します。第29条2項を根拠に、フリースクールやホームスクールなど学校外で学ぶ子どもの学べる権利を実現する法改正が検討されるべきです。
2. 代替的な学びの成功事例
既存の学校以外の場でも、子どもたちは成長に必要な学びを得ることができます。「既存の学校に行かない子は勉強が遅れるのでは」と心配されがちですが、適切な環境さえあれば学習意欲や社会性を取り戻し、むしろ自分に合ったペースで伸びる例が多く報告されています。ここでは、代表的な代替的な学び(オルタナティブな学び)の形態と成功事例を紹介します。
- フリースクール: フリースクールは、既存の学校に行かない子どもたちに学習の場や居場所を提供する民間の小規模施設です。学習指導だけでなく、カウンセリングや体験活動、仲間づくりなど子どもの自主性・社会性を育む取り組みを行っています。フリースクールでは子どもがプレッシャーから解放された環境で、自分の興味に沿って勉強したり遊んだりできるため、既存の学校に行かないことで傷ついた自己肯定感を回復させる効果があります。実際、フリースクールに通った子どもが再び学ぶ意欲を取り戻し、後に公立高校や大学に進学したり、就職して社会で活躍しているケースは珍しくありません。学校に戻らずともフリースクールから高校卒業程度認定試験を経て大学に進学した例や、フリースクールでの体験を活かして起業・芸術の道に進む若者も出ています。また、公立学校がフリースクールと連携し、そこに通う日数を「出席扱い」にしている地域もあり、子どもにとって無理のない形で学びが継続できるよう工夫がされています。
- ホームスクール(自宅学習): ホームスクーリングは、親や家庭教師が中心となり家庭を学びの拠点として学びを行う形態です。日本では義務教育制度との兼ね合いから公式には認められていませんが、実際には既存の学校に行かない子どもの家庭が創意工夫で自主的に学習計画を立てている例があります。例えば先述の教育機会確保法の趣旨に沿い、家庭で通信制教材やオンライン教材を使って学ぶ子どもも増えています。また、親同士が支え合うホームスクーリングのネットワークも存在し、合同で社会科見学やスポーツ活動を行うなど家庭外の学びの場を共有する取り組みも行われています。海外ではホームスクールは合法かつ一般的な選択肢であり、イギリスやアメリカでは専用のカリキュラムや大学進学支援制度も整っています。研究によれば、適切に指導されたホームスクール児童の学力や社会性は学校学びに劣らず、むしろ家族の密な関わりの中で情緒が安定する利点も指摘されています。
- デモクラティックスクール(民主的学校): デモクラティックスクールとは、子どもが参加型の学校運営と自主的な学びを重視する場所で、サドベリー・スクールやサマーヒルスクールが代表例です。日本各地にも「〇〇サドベリースクール」や「デモクラティックスクール」の名称で、小規模ながら子ども主体の学びを掲げる場が生まれています。特徴は、学年や固定カリキュラムを設けず、子ども自身が学ぶ内容・時間を決めることです。大人はファシリテーターとして環境を整え、ルールも子どもとスタッフの話し合いで決めます。一見自由奔放に見えますが、子どもたちは日常の共同生活や自主活動を通じて責任感や判断力を身につけます。例えば、米国のサドベリー・バレー・スクール(1968年創立)では、卒業生の約75%が大学に進学または何らかの高等学びを受けており、大学でも十分適応・成功しているとの結果が報告されています。これは、テストも強制されない環境で育った生徒たちが自主性と自己学習能力を涵養された成果だと言えます。同様に、イギリスのサマーヒル・スクールでも、多くの卒業生が芸術や科学、学びなど多様な分野で創造的に活躍していることが知られています。
既存の学校に行かない子どもたちが社会で活躍するための支援: 上記のような既存の学校以外の学びの環境で育った子どもたちは、自分に合った方法で学び直すことで「生涯学習者」としての土台を築いています。支援者側のゴールは、必ずしも子どもを元の学校に戻すことではなく、その子が社会的に自立・活躍できるようになることです。例えばフリースクールでは、学習支援だけでなく職場体験やボランティア活動を取り入れて社会との接点を作る工夫もなされています。また、NPO等が高校・大学進学のサポートやキャリア相談を行い、既存の学校に行かない経験をした若者の進路開拓を支援する事例もあります。重要なのは、子ども一人ひとりが自分のペースで「学び直し→自己発見→目標設定→社会参加」のプロセスを歩めるよう、継続的に見守り伴走することです。その意味で、フリースクールやホームスクールで培った自主性・創造性は社会に出てから大きな強みとなり得ます。企業や高等教育機関も、既存の学校に行かない経験者のユニークな視点やスキルに注目し、積極的に受け入れる風土を作ることが望まれます。
3. 政策提言・行政との連携
政府・自治体による制度整備: 既存の学校に行かない子どもたちを支援するには、公的制度の整備と行政によるバックアップが不可欠です。前述の教育機会確保法はその第一歩で、この法律に基づき各地で具体的な施策が展開されています。文部科学省は「既存の学校に行かないのは問題行動ではありません」「学校に登校するという結果のみを目標とせずに、子供たちが自分の進路を主体的に考えられるように後押しします」と明言しており、学び行政の方針転換が図られました。この理念をさらに発展させ、以下のような制度改革を提言します。
- 多様な学びの機会の公式認定: フリースクールやオルタナティブスクール、オンラインスクール、ホームスクールなど学校以外で行われる学びを「義務教育の一形態」として公式に位置付ける仕組みを作ります。例えば、一定の基準を満たした民間の学習施設を認定し、そこで学ぶ子どもも在籍校と連携して義務教育を履修したとみなす制度です。実際、文科省は不登校特例校制度を設け、特別な学びの課程を編成できる学校(公立・私立)を指定してきています。今後はこの枠組みを拡充し、NPO等が運営するフリースクールにも公的な学び課程の一部を委ねられるようにすることが考えられます。条約第29条2項が保障する「学びの機関を設置する自由」を国内制度で具体化することで、子どもの学習権保障の裾野が広がるでしょう。
- 財政支援とバウチャー制度: 公的な学び以外の場を選ぶ家庭に対し、経済的負担を軽減する策も必要です。現在フリースクール等は主に利用者負担や寄付で運営されていますが、経済的理由で利用できない子も出ています。政府・自治体がフリースクールに通う子どもの費用の一部を助成したり、学びバウチャー(クーポン)を支給して公的費用を柔軟に使えるようにすることも検討すべきです。また、フリースクールへの補助金交付や、指導員の人件費補助、研修支援などを通じて民間の場の質を底上げし、公的な学びとの連携体制を整えることも有効です。子どもの権利条約第28条はすべての子どもに「学べる権利」を保障しており、このような施策は第28条の実現に資するものといえます。
- 学校内の受け皿づくり: 一方で、学校現場にも多様なニーズに対応できる体制を構築することが重要です。各校に適応指導教室(教育支援センター)や別室登校の仕組みを整備し、登校刺激を与えず安心して過ごせるスペースを用意します。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員し、既存の学校に行かない(行けない)子どもと日常的に対話できるようにします。さらに、カリキュラムの柔軟化(単位制・通信制の活用、フレックス登校など)を進め、子どもが自分のペースで学べるよう制度を弾力運用すべきです。
- 子どもの声を政策に反映: 既存の学校に行かない子どもの意見を政策立案に取り入れる仕組みも必要です。条約第12条は子どもが自分に関係することについて思いをあらわす権利を定めています。教育委員会や学校の協議会に、既存の学校に行かない経験者や若者代表を招いて意見を聞いたり、アンケートを実施して希望する支援内容を把握したりすることが考えられます。当事者の声を反映した制度は現場にも受け入れられやすく、実効性が高まります。
行政と民間の連携強化: 政策を実施に移す上で、行政とNPO・民間団体の連携は欠かせません。教育機会確保法第13条では、国・地方公共団体と民間団体等が相互に緊密に連携するよう求めています。文科省も通知で「フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完することの意義は大きい」と述べ、官民協働の重要性を認めています。具体的な連携施策としては、以下が挙げられます。
- 委託・協働事業の推進: 自治体が既存の学校に行かない支援事業をNPOに委託したり、協働でフリースクール的な居場所を運営する例が増えています。例えば東京都世田谷区では2019年、日本初の公設民営の既存の学校に行かない支援施設「ほっとスクール希望丘」を開設し、運営主体にNPO法人東京シューレを起用しました。30年以上フリースクール運営の実績がある民間団体のノウハウを行政が活用し、多様な学びの場づくりに踏み出した好例です。
- 情報共有と人的交流: 行政の教育相談機関(教育センター等)と民間フリースクールとの間で、子どもの状況や支援方策について情報共有を図ります。ケース会議に相互参加したり、人事交流により行政職員がNPO研修を受けるなどの取り組みも有効です。相互理解が深まれば、学校とフリースクール間の転学や併用通学の調整もスムーズになります。
- 法制度上の位置づけ: 行政と連携する民間団体に対し、一定の資格付与や登録制度を整えることも考えられます。たとえば「学び支援人材バンク」に登録したNPO職員を非常勤職員として学校に受け入れる制度や、フリースクールを都道府県教育委員会が認証する制度(仮称「フリースクール認証制度」)を創設することも一案です。これにより、民間の活動が公的支援のネットワークに正式に組み込まれ、継続性・信頼性が高まります。
4. 社会的啓発とキャンペーン
子ども・保護者への情報発信: 子どもが既存の学校に行かない場合、子どもや保護者は、「どうしていいか分からない」、「「自分たちだけが特殊なのでは」と不安を抱えがちです。まずは、選択肢や支援策に関する情報を行き渡らせることが重要です。文部科学省や各自治体のウェブサイトでは、既存の学校に行かない支援のQ&Aや相談窓口の案内を掲載しています。例えば文科省は24時間対応の子どもSOSダイヤル「0120-0-78310(なやみ言おう)」を設置し、いつでも相談できる体制を整えています。また、既存の学校に行かない経験者や専門家が執筆するガイドブック、体験談集を配布したり、学校の担任教師やスクールカウンセラーを通じて保護者にフリースクール等の紹介を行うなど、必要な情報がタイムリーに届く工夫が求められます。子ども向けには、優しい言葉で「学校以外でも学べる場所があるよ」、「「一人で悩まなくて大丈夫」といったメッセージを伝えるリーフレットや動画を用意し、学校や公共施設で配布・上映するとよいでしょう。
メディアやSNSを活用した啓発: 世間一般の既存の学校に行かない子どもへの理解を深め、偏見を無くすためのキャンペーンも有効です。近年、SNS上で「#既存の学校に行かないは不幸じゃない」というハッシュタグ運動が大きな広がりを見せました。このムーブメントでは、既存の学校に行かない経験者や支援者が「既存の学校に行かないでもこんなに元気にやっている」「学校以外にも居場所はある」とポジティブなメッセージを発信し、5万件以上の投稿が集まる大きな盛り上がりとなりました。発起人の小幡和輝さんは「学校がつらいとき、既存の学校に行かないことを選びやすい社会にしたい」と訴え、全国の有志とともに各地で同時イベントを開催しています。このようにSNSは当事者の声をダイレクトに届け、共感の輪を広げる強力な手段です。また、テレビや新聞でも既存の学校に行かないことに関する前向きな特集が増えてきました。NHKなどで「既存の学校に行かないは珍しくない」、「多様な学びの現場」といったテーマでドキュメンタリーが放映され、一般の視聴者にも理解が浸透しつつあります。行政も広報に創意工夫を凝らしており、人気漫画『3月のライオン』とタイアップした啓発ポスターを全国の中学校・高校に配布し、子どもたちに「学校以外の道もある」というメッセージを伝えています。
企業・NPOとの連携によるキャンペーン: 社会全体で子どもを支えるメッセージを発信するため、企業のCSR活動やNPOの広報力とも連携できます。例えば通信会社やIT企業が中心となって「オンライン学習支援プロジェクト」を立ち上げ、在宅の既存の学校に行かない児童にタブレット端末や通信サービスを提供しつつ、「学ぶ機会はどこにいても保証される」という啓発を行うことも考えられます。実際、民間企業による無料オンライン学習講座の提供や、学び系NPOとの協賛イベント開催などの事例があります。また、地元企業と協力して子どもの居場所づくりを支援する動きもあります。
例えばある地域では、空き店舗を改装して子どもたちが夕方に集まれるフリースペースをNPOと企業の寄付で運営し、「学校以外にもホッとできる場所がある」というメッセージを地域に広めました。企業の持つ資源(資金、物品、人材)を活かし、NPOや行政と一緒にキャンペーンを打つことで、よりインパクトの大きな啓発が可能になります。
ポイントは、「既存の学校に行かない=悪いこと」という固定観念を社会から無くし、多様な成長を認め合う風土を醸成することです。そのために、成功した元・既存の学校に行かない生の講演会や、保護者同士の座談会(スポンサー付きイベント)を開催するなど、生の声を伝える場も増やしていきましょう。
5. 国内外の支援事例
海外の先進的な取り組み:
- イギリス: 病気・不安・非行など何らかの事情で学校に通えない子どもには、自治体がオルタナティブ・プロビジョン(代替学びの提供)を行う義務があります。具体的には家庭教師の派遣、病院内学級、専門の学習センターへの通学など、多様な手段で学び継続が図られます。さらに、フレックススクールと呼ばれる特別教室や、学校外のラーニングセンターも整備され、子どもは在籍校と外部施設を組み合わせて通うことも可能です。全国的な親の支援ネットワーク「Not Fine in School」も存在し、既存の学校に行かない児童の親が情報交換や行政への提言を行っています。
- 北欧諸国: フィンランドやデンマーク、スウェーデンなどは学びのシステムが柔軟で、個別最適化学習が進んでいます。例えばフィンランドでは、学習困難や不安を抱える子には個別プランを作成し、一時的にスモールグループやカウンセリング重視のクラスに移ることができます。デンマークには中等教育段階での「エフタースコーレ」という寄宿制の自由学校があり、通常の学校に馴染めなかった15~17歳の生徒が1年間、自分の興味(音楽・スポーツ・職業訓練など)を追求できます。行政の福祉部門と学び部門の連携も密接で、既存の学校に行かない状態が長期化しそうなケースにはソーシャルワーカーや心理士が家庭訪問し、必要に応じて福祉サービスと学びのサービスを一体で提供しています。
- アメリカ: 連邦制のため州によって対応は様々ですが、チャータースクール(公費助成を受ける自主運営校)やオルタナティブスクール(学び困難な生徒向けの公立特別校)が広く存在します。ニューヨーク市には既存の学校に行かない・中途退学した生徒を受け入れるトランジションスクールがあり、社会人経験のあるメンターが付き添って高校卒業資格取得まで導くプログラムがあります。シリコンバレー周辺ではマイクロスクール(少人数制スクール)が発達し、既存の学校に行かない子や発達特性を持つ子どもたちがオンライン教材と対面指導を組み合わせて学んでいます。ホームスクーリング人口も数百万人規模に上り、地域ごとにホームスクール・グループが課外活動や合同授業を行う文化が根付いています。ただし子どもの利益を守るため、定期的な学力評価や健康・安否確認を義務付ける動きもあり、権利保障と保護のバランスを保とうとしています。
- その他の地域: オーストラリアでは遠隔地や既存の学校に行かない子ども向けに公立の通信学び学校が各州に設置され、電話やオンラインによる個別指導とスクーリングを組み合わせるハイブリッド型学習が普及しています。フランスではÉcole de la Deuxième Chance(二度目のチャンス・スクール)という16~25歳の学校中退者向け学び機関を全国展開し、企業研修と基礎学力指導で社会復帰を支援しています。韓国でも2018年に法改正を行い、既存の学校に行かないや中退者のための「代案学校(オルタナティブスクール)」の認可制度を整え、大学入試資格が得られるようにしました。どの国でも「子どもを取り残さない」という理念が根底にあり、条約第29条2項が持つ「多元的な学びアプローチで全ての子の権利を守る」という思想に通じています。
日本国内の具体的支援活動:
- NPOによるフリースクール運営: 全国には多くのNPO法人がフリースクールを運営し、既存の学校に行かない児童生徒の受け皿となっています。例えば東京シューレは1985年に親たちが始めた草分け的存在で、現在までに延べ数千人の子どもが在籍しました。東京シューレはフリースクール以外にも、親の会の開催やフリースクール全国ネットワークの立ち上げなど幅広く活動しています。他にも、大阪の「登校拒否・既存の学校に行かないを考える全国ネットワーク」、北海道の「マミートーク」(親の会)など、既存の学校に行かない経験者や保護者が中心となって支え合う団体があります。これらのNPOは行政と連携して講演会や相談会を開催したり、政策提言も行い、教育機会確保法成立の背景にも当事者団体の継続的な提言活動がありました。
- オンラインコミュニティと学習支援: インターネット上には、既存の学校に行かない子ども同士が交流できる場やオンライン学習を支援するコミュニティも存在します。例えば「既存の学校に行かないYouTuber」が自身の経験を発信して同世代に「学校以外の学び方があっていい」と呼びかけ、YouTube上で勉強会ライブ配信を行うなどの動きがあります。プログラミング教室運営企業が「既存の学校に行かない生歓迎」のクラスを開講し、同じ境遇の子どもたちがものづくりを学ぶケースもあります。近年はメタバース上のフリースクール(バーチャル空間でアバターを通じて登校)という先進的試みも登場しています。コロナ禍でオンライン学習が普及したことも後押しとなり、地理的に離れた子ども同士や自宅から出られない子もネットでつながり学べる環境が整いつつあります。
- 地域ぐるみの居場所づくり: 地域のボランティアや民生委員、学校OBなどが協力して、放課後や休日に子どもが自由に過ごせる居場所を運営する例もあります。宮城県仙台市の「ろりぽっぷ学園」(不登校特例校に指定)では、小学校内に専用スペースを設け、NPOスタッフと地域ボランティアが工作や読書、野外活動など多彩なプログラムで子どもを受け入れています。また、埼玉県のある地区では廃校舎を転用した子どもカフェをNPOが開設し、既存の学校に行かない子も含め誰でも放課後に立ち寄って無料でおやつや勉強をできるようにしています。こうした地域の居場所は、既存の学校に行かない児童にとって学校でも家でもない「第三の居場所」となり、孤立を防ぐ役割を果たしています。
- 夜間中学・定時制高校の拡充: 学齢期に既存の学校に行かないまま卒業してしまった場合でも、学び直しの機会を提供する施策が取られています。義務学び未修了者や既存の学校に行かない経験者向けに、中学校夜間学級(夜間中学)を全都道府県に設置する計画が進行中で、いくつかの県で新設が実現しました。定時制高校・通信制高校も既存の学校に行かない経験者の受け皿として重要で、最近は通信制高校がフリースクールや技能連携校と提携し、多様なカリキュラムを用意する事例も増えています。ある通信制高校では週1回のスクーリング以外は生徒が地元のフリースクールに通うことを認め、レポート指導などで単位認定する仕組みを採用しており、生徒は慣れ親しんだフリースクールで安心して学びながら高校卒業資格を得られます。こうした公的な学びとフリースクールのハイブリッド型は、既存の学校に行かない支援の新しいモデルとして注目されています。
おわりに:効果的な支援方法の提案
調査結果から明らかになったのは、既存の学校に行かない子どもたちを支援するには学びの多様性を認め、子ども一人ひとりに寄り添ったアプローチが不可欠だということです。そのために、国際的な人権基準である子どもの権利条約第29条2項を積極的に活用し、「学び方の自由」を保障する社会への転換を図ることが重要です。
最後に、本稿の知見を基にした効果的な支援策を提案します。
- 法・制度の整備: 子どもの権利条約第29条2項の理念を明文化し、フリースクールやホームスクール等での学びも義務教育として認める法改正を行う。教育機会確保法を発展させ、既存の学校に行かない児童生徒への支援を学校設置者の責務として明記する。また、既存の学校に行かない特例校の全国展開や認定フリースクール制度の創設など、具体的な制度を充実させる。
- オルタナティブな学びの充実: 子どもの多様なニーズに応える学びプログラムを開発・提供する。各地域に最低一ヶ所はフリースクール等の居場所が利用できるようにし、オンラインも含め学びの場へのアクセスを保証する。民間の創意を活かせるよう助成金や寄付促進税制で支援する。
- 個別最適な支援計画: 既存の学校に行かない児童生徒ごとに、学び・福祉・医療の専門家を交えたチームで**個別支援計画(ISP)**を策定する。子どもの意向を丁寧に聞き取り、在籍校での部分的な参加、フリースクール利用、オンライン学習、カウンセリング等を組み合わせ、その子だけの「オーダーメイドの学び直しプラン」を用意。定期的に見直し、柔軟に調整する。
- 心理社会的サポート: 学習面だけでなく、メンタルヘルスや社会的スキルの面でも支援を充実させる。専門カウンセラーによる継続相談、ピアサポートグループの開催、自己肯定感を高めるための体験活動など、子どもの心のケアと社会性回復を重視。必要に応じて家族療法や保護者カウンセリングも実施し、家庭環境から支える。
- 社会の意識改革: 「既存の学校に行かない=ダメなこと」という偏見を無くし、「子どもの幸せと成長が最優先」という共通認識を社会に根付かせる。教職員研修や保護者啓発セミナーに子どもの権利や多様な学びを取り入れ、メディアキャンペーンやSNS発信(#既存の学校に行かないは不幸じゃない 等)を継続して成功事例を紹介する。企業や有名人も巻き込んだプロジェクトで「みんな違ってみんないい」という学びへの支援文化を醸成する。
以上はいずれも、子ども本人の権利と意思を尊重し、柔軟で包括的な支援を行うという点で一致しています。
既存の学校に行かないのは決して「甘え」や「怠け」ではなく、現代の学び環境に適応しきれない子どもからのSOSサインとも言えます。そのサインを社会全体で受け止め、多様な受け皿と温かな励ましの手を差し伸べることができれば、どの子どもも自分のペースで成長し、やがて社会に貢献できる大人へと巣立っていけるでしょう。
「与えられた学校に行かなくても、子どもは学び、成長する」――このシンプルな事実を胸に、私たちは学びのあり方を見つめ直し、子どもの権利が最大限守られる仕組みづくりを進めていく必要があります。子どもの未来は一つではありません。条約第29条2項の理念を合言葉に、一人ひとりの子どもの未来を、多様な形で支えていきましょう。